■ 付録 朗読会について6/10
- marikoroudoku
- 3 日前
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更新日:2 日前
【付録 朗読会について】
[はじめに]
『新しい朗読』は、語り手の体験を、自分の体験として生きることを目指す読書法です。そのために、自らの五感と身体、そして脳を自在に使います。語り手の体験に接近しようと試みたその先に、朗読会という「体験を共有する場」があるのです。
[朗読会とは]
朗読会は、すでに(語り手とともに)虚構の作品世界を生きた読者たちが、その体験を携えて集い、持ち寄った互いの体験を重ね合わせながら、さらに深く作品世界を旅するための場です。
朗読者は、あなたよりも少し作品世界に詳しいはず。きっと頼もしい同行者になってくれるでしょう。一緒に歩けば、一人で歩いていたときには気づけなかったこと――見逃していたことや聞き逃していたことに、ふと気づくかもしれません。その新たな発見の悦びは、他の同行者と響き合い、瞬時に会場を満たします。
『新しい朗読』の朗読会は、語り手とともに生きた体験を起点に、集まった皆で、虚構世界の奥行きを深く開いていく――そんな豊かな旅の時空間なのです。
[朗読会に向けた朗読チャレンジ]
朗読会で取り上げる文学作品には、唯一無二の語り手が存在します。そして、語り手が生きる虚構世界と、私たちが生きる現実世界との間には、「壁」があります。その壁が二つの世界を隔てるかたちは、作品によってさまざまです。
■安易にわかった気になるケース
現実世界から虚構世界がけっこう見えている児童文学などでは、壁があることをつい忘れ、語り手を意識することなく虚構世界を「わかった気」になってしまいがちです。その結果、作品の本当の価値、いわば宝物を見落とす危険があります。
朗読会の当日でもじゅうぶん間に合います。語り手の言葉を注意深く観察して、その体験を推察する『新しい朗読』を取り入れ、語り手の体験を見極めたうえで自分ごととして体験し、旅の準備を整えましょう。お手伝いするので安心してご参加ください。
■自分の経験が邪魔をするケース
近代の文豪らの短編小説や大人向けの現代詩などは、壁の存在を強く感じさせます。虚構世界に入ろうと努力するのは素晴らしいことですが、その努力が報われない場合もあります。
たとえば、壁の小さな穴から覗いて見えた一部の情報に固執してはいないでしょうか。自分にとって印象深い言葉が、語り手にとっても大切な言葉だと誤解してしまうと、語り手を失ったまま、自分だけの虚構世界を編み出してしまうリスクが生まれます。
──こうしたリスクを避けるには、前もって『新しい朗読』にじっくり取り組み、時間をかけて語り手の体験に近づくのが得策です。その道のりもたっぷりたのしみましょう。やがて「語り手とともに虚構世界を生きている自分」を発見したとき、旅の準備は整います。
[朗読会当日は?]
まずは簡単に自己紹介をしていただきましょう。そしてリラックスした状態で、語り手に関するいろいろな話をのんびりとお聞きください。和気藹々とした雰囲気のなか、質疑応答も交えながら「語り手の体験に接近する」ひとときを過ごし、やがて皆で作品世界を共有できたら、いよいよ朗読の時間です。
「朗読が終わったあとも、旅を続けたかった。現実世界に戻らずに、しばらく虚構世界に留まっていたかった」といったうれしいご感想も寄せられています。
[愉悦の体験を!]
朗読会は、皆で虚構世界に心遊ばせる、最高の旅をたのしむ場です。前もって虚構世界を生きた読者だからこそ、繊細な気づきも生まれ、奥深い感情も味わえるのでしょう。一過性の感動を超える深い感動と出逢う「愉悦の体験」が、きっとあなたを待っています。
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