愉しいコラボレーション🎶

先々週を振り返ります。10月14日(月・祝)に文化のみち二葉館で、10月19日(土)にNHKカルチャー名古屋教室で、愉しいコラボレーションのお仕事がありました。たくさんの皆さまにお越しいただいて、たくさんの関係者の皆さまにお力をいただいて、幸せな時間を過ごすことができました。心よりありがとうございました(^^)
文学作品の言葉は、すでに音声を持っている完成した言葉です。わたしは、自分から〈語り手〉の言葉が生まれるように、〈語り手〉の体験と同じ体験を試みます。自然に、わたしから〈語り手〉の言葉が生まれたとき、わたしは、〈語り手〉のどのような心情・身体感覚・音声と出逢えるのか…心を澄ませて観察します。〈語り手〉に対する理解が、だんだん深まっていきます。
音声を持たない未完成の言葉に、自分が音声を与え完成させて、聞き手に届けるのではありません。
というようなことを、あらためて確認する良い機会となりました♪
文化のみち二葉館で朗読にチャレンジしてくれた中京大学生の皆さんには、「本番になって目の前にお客様がいらっしゃると、音声を届けたくなっちゃうと思う。だけど、違うよ。わたしたちは、音声を届けるんじゃなくて、〈語り手〉の永春さん(←勝手に命名)を追体験するんだよ。永春さんは、音声を聞き手に届けようとして語ってはいないからね。体験とともに言葉が生まれてるよ」と、くどくお話ししました。その結果、皆で、永春さん体験を共有できたと思いました。朗読者の皆さん、どうもありがとうございました(^^)
体験とともに生まれた音声は、聞き手に届く場合と、届かない場合があることも、ご参加くださった皆さまにお話しすることができました。数回読んだときの理解と、読み深めたときの理解が変容する詩は、とてもとても音声で届けることはできません。わたしが取り上げた「あけがたにくる人よ」という詩は、音声では届かないほうの詩だと思いました。そこで、皆さまとご一緒に〈語り手〉の追体験を試みてから、音声を共有するという、実験的な朗読会となりました。成立したのは、ご参加くださった皆さまのおかげです。誠にありがとうございました(^^)
劇伴音楽の第一人者として輝いていらっしゃる冬野ユミさんとのコラボレーションも、とっても楽しかったです!
冬野ユミさんからは、「光る君へ」のサウンドトラックから、ご自身が選曲された3曲に合わせて、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の冒頭を朗読してほしいというご要望をいただきました。どのような結果になったかというと、当日、まず音楽無しで、朗読をしました。そのあと…
3曲それぞれの音楽に合わせて、3回ナレーションをしました。文学作品の朗読ではなくて、ナレーション原稿のナレーションです。冬野ユミさんが音楽で創りたいと思っていらっしゃるであろう作品世界に合うように、「蜘蛛の糸」をナレーション原稿として使わせていただき、用意された言葉に音声を与えたわけです。
冬野ユミさんも、ご参加くださった皆さまもおおいに楽しんでくださいましたが、芥川龍之介先生が創ろうとされたであろう作品世界を、冬野ユミさんが唯一無二の音楽で彩ってくださったなら、さらに豊かなシーン…文学と音楽の至福のコラボレーションが生まれただろうなと思いもしました(^^)
二つのうれしい機会を頂戴して、多くの学びを得ることができました。出逢えたすべての皆さまお一人おひとりに、深く感謝して、引き続き精進してまいります。幾重にもありがとうございました!
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