☆ 物語や小説の言葉について

いつもブログをお読みくださってありがとうございます。今日も文学作品の朗読（=〈語り手〉を追体験する試み）を愉しんでいらっしゃいますか？脳内で追体験するときには声は出ません。身体を使って追体験するときには声が出ます。声を伴う伴わないにかかわらず、〈語り手〉追体験を試みているならば、どちらも朗読と考えましょう。

さて。わたしたちは日常生活のなかで、さまざまな文字言語と出会います。新聞記事の言葉、説明書の言葉、小説の言葉etc…。それぞれどのように違うのでしょうか。

わたしたちを虚構の作品世界へと誘ってくれる物語や小説の言葉は、鮮度が高いですね！そのとき、その場で、生まれている言葉だからでしょうね(^^)

朗読教室で、物語や小説を朗読する際にお話しするのは、言葉は生まれるのだということ。

虚構世界に連れていってくれる〈語り手〉は、あらかじめ用意されている言葉を語っているのではありません。〈語り手〉の言葉は、そのとき、その場で、生まれています。生まれたての言葉だから、みずみずしいし、現実世界に生きるわたしたちを、虚構世界へと連れていってくれる圧倒的なエネルギーを持つのでしょう！

「〈語り手〉の言葉は、いま、ここで、生まれるものです。だから朗読する（=〈語り手〉と同じ体験を試みる）際には、あらかじめ用意された文字から離れましょうね」と、いつもお話ししています。

すると、言葉を覚えようとする方がいらっしゃいます。でも、言葉を覚えて、覚えた言葉を思い出しながら語るのは、けっして朗読ではありません。考えてみてください。〈語り手〉は、覚えた言葉を思い出しながら語りませんよね(^^)

覚える…というか意識するのは、〈語り手〉の言葉ではなく、言葉とともに存在する〈語り手〉の体験です。朗読する際には、文字となった言葉を手がかりにして〈語り手〉の体験を思い浮かべて、そして、自分の身体を使って同じ体験をします。すると、体験に伴う言葉が、自分から生まれてきます。（注＊）

〈語り手〉と同じ体験を試みたとき、その体験とともに自分から生まれる言葉。それは、枝葉の部分では〈語り手〉の言葉とは違っているかもしれません。ガッカリですか？でもね、まずは、それでいいのです！〈語り手〉と自分の言葉との違いから、双方の脳の違いに気づけます！数十回朗読を繰り返すうちに、その違いは解消されて、〈語り手〉と同じ言葉が生まれるようになりますよ(^^♪

そうなれば…もう文字を見ていても、文字から離れられるようになります。（←ちょっと禅問答のようですね⁉︎）

（注＊）〈語り手〉がどのような体験をしているのかを言語化しましょう。言語化できるくらいまで理解しましょう☆