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付録 朗読会について 最終稿(^^)

更新日:4月19日


【付録 朗読会について】


[はじめに]


 『新しい朗読』は、語り手の体験を身体・五感・脳を駆使して自らの体験にし、語り手とともに虚構世界を生きることを目指す読書法です。そして、その先にあるのが「朗読会」という体験の場です。




[朗読会とは]


朗読会は、すでに語り手とともに虚構世界を生きている読者たちが、その世界での経験を携えて集い、互いの体験を重ね合わせながら、さらに深くその世界を旅するための場です。


朗読者は、同じ虚構世界に暮らす「少しその町に詳しい人」のような存在。けれど、一方的に案内するのではなく、そこに集うすべての人が、自分自身の足で虚構世界を歩いてきた同行者です。


朗読会は、朗読者が発表する舞台でも、音声表現の技術を競うステージでもなく、「語り手とともに生きた体験」を起点に、皆で、世界の奥行きを開いていく豊かな旅のひとときだといえるでしょう。




[朗読会に向けた朗読チャレンジ]


唯一無二の語り手が存在する文学作品では、虚構世界と現実世界の間に「壁」があります。その壁が二つの世界を隔てるかたちは、作品によってさまざまです。



 ■安易にわかった気になるケース


現実世界から虚構世界がけっこう見えている児童文学などでは、壁があることをつい忘れ、語り手を意識することなく虚構世界を「わかった気」になってしまいがちです。その結果、作品の本当の価値、いわば宝物を見失っているかもしれません。


朗読会の当日でもじゅうぶん間に合います。語り手の言葉を注意深く観察して追体験を試みる『新しい朗読』を取り入れて、語り手の体験を見極めたうえで自分ごととして体験を試み、旅の準備を整えましょう。お手伝いするので安心してご参加ください。



 ■自分の経験が邪魔をするケース


近代の文豪らの短編小説や大人向けの現代詩など、壁の存在を強く感じさせる作品もあります。自分なりに努力して虚構世界に入ろうとするのは素晴らしいことですが、その努力が報われない場合もあります。


たとえば、壁の穴から覗いて見えた一部の情報に固執し、「自分にとって印象深い言葉=全体像」と誤解してしまうことがあります。その結果、語り手のいない自分だけの虚構世界を作り出してしまうリスクがあるのです。


──こうしたリスクを避けるには、前もって『新しい朗読』にじっくり取り組み、時間をかけて語り手の体験に近づくのが得策です。その道のりもおおいにたのしみましょう。やがて「語り手とともに虚構世界を生きている自分」を発見したとき、旅の準備が整います。




[愉悦の体験を!]


朗読会は、皆で虚構世界に心遊ばせる、最高の旅をたのしむ場です。前もって虚構世界を生きた読者だからこそ、繊細な気づきも生まれ、奥深い感情も味わえるのでしょう。一過性の感動を超える深い感動と出逢う「愉悦の体験」が、きっとあなたを待っています。

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Salon de Marikoのロゴは、ハートの形をモチーフにしています。文学作品を味わう過程と時間を、朗読で、人と共にすることで、心(脳)が豊かに育つことを表しています。また「サロン」は、人の温かみのある上質な学びの時空間を表しています。

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